契約書翻訳の注意点とは?英文構造と英語表現を解説

海外と取引を開始する際には英文契約書が必要になります。
普通の英文とはかなり異なり、見慣れない専門用語が並ぶ英文契約書は、経験がないと「まったく意味がわからない」こともあるでしょう。

本記事では、英文契約書を正しく理解できるようになるために英文契約書の特徴や英文構造、英語表現を解説します。海外ビジネスの入口である英文契約書について基本的なことから押さえておきましょう。

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契約書翻訳とは

契約書翻訳とは

人や企業など複数の者の間で交わされる法的な拘束力のある約束が「契約」です。
海外との取引を始める際には「契約書」を英文化する契約書翻訳が必要になります。

契約書翻訳には、一般的な英語翻訳の能力だけではなく、取引相手国のビジネス慣習や英米法(イギリス法およびイギリス法を継受した国々の法)についての知識を有していることや、契約後のリスクを考慮しながら、正しい英語表現を選んで翻訳できる能力が求められます。
小説のように想像力を要して個人で受け止め方が異なるようなものではなく、誰が読んでも義務と権利がハッキリと正しくわかるように表現しなければなりません。

英文契約書の特徴

英文契約書の特徴

法律や契約の学習経験がない人にとって契約書は日本語でも難しい文書です。一度読みで内容を完全に理解するのは難しいでしょう。目で追って文章は読めても、書かれている内容が自分や自社にとって不利になるのか判断がつかなかったりしたのではないでしょうか。

さらに、英文契約書は、細かい規定内容が複雑な構造の英語で表現されており、一文が長くて文章量も多く、数十ページで構成される契約書もあります。
英米法における取引では「契約書に書かれていることがすべてである」という認識があり、口頭でのやり取りは重視されません。よって、広範囲にわたって取引条件をくわしく記載する必要があるため英文契約書は長文になります。

英語が得意な人なら、辞書を引いて英文契約書を日本語化することはできるかもしれませんが、単純に日本語化しただけでは内容の理解は難しいでしょう。
基本的な法律用語、海外取引で使われる制度について知識がないと「実質的にどのような意味なのか、法的な効果は何なのか」が正しく解釈できません。英文契約書は英語力だけで読みこなせるものではないのです。

契約書翻訳の注意点

契約書翻訳の注意点

相手方が作成した契約書の内容を確認するには英語から日本語に、自社側の契約書を作成する際は日本語から英語への翻訳が必要になります。

契約書は「読書」のように受け身で読んで「なんとなくわかった」でいいというものではありません。「契約内容に適した記載内容となっているか」「法的に問題はないか」「自社に不利な条件になっていないか」などの点も押さえながら読み込む必要があります。

英文契約書を作成するには、十分な英語力はもちろん、英米法や国際法における法律的な知識、英文契約書特有の構造、表現や言い回しを習得し、先々のトラブルを想定して回避するための対策を十分に盛り込んで文章を作成しなければなりません。高度な知識や経験が必要になります。次に注意すべき点を4つ挙げます。

参考記事:英語で契約書を作成や翻訳をするときのポイント
https://www.fukudai-trans.jp/blog/english-contract/

義務を果たせないときはどうなるか

契約に基づいて発生した債務を行わなかった場合は「債務不履行」となります。「契約違反」と同じ意味です。

英米法の考え方に準拠する英文契約書では、当事者の故意や過失ではなく地震、台風などの天災により納期に遅れが発生した場合でも契約違反とみなされる可能性があります。相手方とのトラブルを回避するためには、日本では想定できないような戦争、テロリズム、ストライキなども含め不可抗力にあたる事象を取り決め、そのうえで免責する事項を記載しておきましょう。

お互いが合意した項目が定められているか

先述のとおり、英米法における取引では「契約書に書かれていることがすべてである」という認識のため、お互いが合意した内容については正しく記載しておく必要があります。

契約内容について、契約締結に至るまでの期間中に行われた口約束や打合せの記録などは法的効力を持たないなどとすることで、契約から発生する問題について、契約書以外の合意や文書が契約に影響しないようにするための項目を「完全合意条項」といいます。

本条項が記載されていないと、トラブルが発生した際に契約書以外の口約束や議事録などが証拠として採用されてしまい、契約の安定性が損なわれ、問題を解決することが困難になります。長期化するトラブルにより時間や費用がかかることでお互いに苦慮する状況に陥るリスクが高くなるため、定めておくべき条項とされています。

英文契約書の構造を理解する

契約書は複雑な英文に見えますが、ある程度決まった型があり、よく使われる用語も限られています。
一般的な英文契約書の例として「売買契約」の概略構成を以下に紹介します。

①タイトル Title:売買契約 Sales and Purchase Agreement
②頭書 Premises:契約当事者と契約締結日を定める。
③前文 Whereas Clause:契約を結ぶに至る背景を定める。
④定義 Definitions:重要な用語の意味を定義する。
⑤売買の合意条項 Sale and Purchase of the Product:売主と買主が何をするのかを定める。
⑥契約金額 Purchase Price:対価はいくらで何が含まれているのかを定める。
⑦支払い条件 Payment Conditions:支払方法、期限、遅延利息などを定める。
⑧出荷(船積み)Shipment:出荷期限、納期遅延の場合の対処などを定める。
⑨試験 Inspection:出荷する製品に対して誰が、どこで、いつどのように試験をするのか、不合格の場合の対処などを定める。
⑩リスクの移転 Risk of Loss:両当事者に過失がなく、製品が故障した場合の対処を定める。
⑪所有者の移転時期 Ownership:製品はいつから買主のものになるのかを定める。
⑫保証責任 Warranty:保証期間はいつまでなのかを定める。
(中略)
⑬終わりの条文 Concluding Clause:文書を締める文言
⑭署名 Sign:署名は代表者が手書きで行う。

ほかの英文契約書としては秘密保持契約書 Non-Disclosure Agreementや技術ライセンス契約 Technical License Agreementなどが挙げられます。
記載内容はそれぞれ異なりますが、ほとんどの契約書では基本型として上記例の①から④までと⑬、⑭は記載されています。

英文契約書の英語表現を習得する

英文契約書では、一般英語とは違う法律英語特有の言い回しや用語が用いられるため、適切な使い方を理解しておきましょう。英文契約書で頻繁に使われる用語3つを解説します。

「~しなければならない」はshallを使う

契約書に記載されている「約束事」は「~しなければならない」の義務です。
一般英語で「~しなければならない」というとmustやhave toが思い浮かぶかもしれませんが、英文契約書では、基本的に「~しなければならない」をあらわすときはshallを使用します。

「~しなければならない」をshallであらわす例文を2つ挙げます。

The seller shall deliver the product to the Purchaser.
売主は、買主に製品をひきわたさなければならない。

The Purchaser shall pay the Contract Price to the Seller in accordance with the following.
買主は、契約金額を以下に従って売主に支払わなければならない。

considerationは「約因」とする

considerationは、一般英語では「考慮、考察、意見」などと訳されますが、(研究社 新英和大辞典 第六版より)英文契約書では「約因」と訳されます。

約因とは日本法にはない英米法上の概念で、契約が有効に成立するための条件を指します。
たとえば、会社Xがある製品を10万円で販売すると約束し、会社Yが10万円で購入すると約束すれば、両者に「約束がある」ので「約因がある」となるのです。

consideration「約因」は次のように使われます。

NOW, THEREFORE, in consideration of the premises and mutual covenants set forth herein, the parties hereto agree as follows:
よってここに、本契約に定める前提および相互の制約を約因として、両当事者は以下の通り合意する。

「考慮」の意味は、「考えをめぐらすこと。よく考えあわせること」(広辞苑 第7版より)なので、上記例文の「約因」を「考慮」と表現してしまうとconsiderationの契約書上の本来の意味をあらわせなくなってしまいます。

「当事者」はpartyを使う

英文契約書にはpartyという語が頻出します。始めて英文契約書を読む人は「契約書なのになんのパーティのことだろう?」と思うでしょう。

partyは一般英語では「(社交上の)集まり、パーティ、派、仲間」などと訳されますが、(研究社 新英和大辞典 第六版より)英文契約書では、契約を交わす「契約当事者」 をparty(パーティ)とあらわします。人の場合、企業の場合どちらにおいてもpartyを使用します。また、契約当事者以外の第三者についてもpartyを用います。

partyのあらわし方は次のとおりです。

2者間の契約で、両方の当事者:both parties, parties
各当事者:each party
いずれかの当事者:either party
契約を交わした者以外の第三者:third party

party「当事者」は次のように使われます。

Parties means the Seller and the Purchaser and “Party” means any one of them.
両契約当事者とは、売主と買主を意味し、契約当事者とは、いずれかの一方を意味する。

以上のように、一般英語で使われる用語でも、法律用語としては特別の意味をあらわすことがあります。難しく感じるかもしれませんが、使われる用語は限られています。主要な用語を「法律の場合はこの意味である」と一度まとめて覚えておきましょう。

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英文契約書には決まった構造や英語表現があるので、理解して繰り返し読むトレーニングを重ねていけば次第に楽に読めるようになっていきます。

スピードが問われる海外ビジネスをスムーズに進めるために、難易度の高い契約書翻訳は法律英語の実績がある翻訳会社への依頼をおすすめします。

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